研究概要 |
本研究の目的は,日系多国籍企業の海外現地法人において,現地のサプライヤー企業やカスタマー企業とどのような相互作用があり,その結果どのような知の創出があり,それをどのように多国籍企業内部に取り込み,競争優位につなげていくかを明らかにしようとするものである。 研究計画に従い,本年度は文献の収集をおこなった。これにより,欧米の研究による海外現地法人経営の理論的実証的研究の動向をつかめるようになってきたが,まだまだ不十分なところもあり,引き続き文献研究をおこなう予定である。 また,来年度実施するアンケート調査の基礎調査として,本年度は英国とベルギーへ赴き,日系企業を訪問調査した。訪問先は,東芝の欧州現地法人(1社),ホンダの欧州現地法人(2社),テルモの欧州現地法人(1社)である。それぞれの企業において,欧州における海外現地法人の経営の実態,とくに海外現地法人の本社に対する強み,海外現地法人から世界市場へと展開された製品,子会社の自立を目指した結果,本社では扱うことのなかった製品の生産,欧州市場における子会社間の相互関係,など本研究にとって有益な情報を得ることができた。 そのほか,アンケート調査にかかわるデーター分析の方法についても検討を進めた。 このように本年度においては海外現地法人における経営について,理論的な研究の蓄積ができ,また様々なケースを収集することができた。今後はその強みをどのように構築してきたか,そのメカニズムを明らかにすることを課題としたい。
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