本年度前半は、EMESグループを中心とした社会的企業論、並びにソーシャル・キャピタル概念に重点を置いて、主として理論研究を進め、分析枠組みの整備を行ってきた。その上で、2004年2月27日から3月12日の日程で、主として英国社会的企業を対象とする海外ヒアリング調査を実施した。調査対象となった団体は、社会的起業家を推進する中間支援組織であるCommunity Action Network (CAN)とそのメンバー団体である社会的企業Kaleidoscope Project、Bromley-by-Bow Community Centre、The Jamyang Project in Lambeth、London Asian African Caribbean Centre (LAACC)、Smart Buffets、Aspire(以上はロンドン)、Track 2000、New-port Action for the Single Homeless (NASH)(以上はウェールズ)、またCANとは異なり協同組合運動を基盤として成立した社会的企業の中間支援組織であるSocial Enterprise London (SEL)、社会的企業との比較のために地域に密着した一般的なチャリティ団体として、Community Matters、Community Links、Chiltern Society、Chesham Society、英国ボランタリーセクターの中心的な中間支援組織であるNCVO、更にはローカル・コンパクトで有名なReading市で行政とボランタリー組織の関係を知るために訪問したReading Community Enterprise Agency、Reading Mental Health Resource Centre、Reading International Solidarity Centre、MAPPプロジェクト等、計20団体である。これらの諸団体のヒアリング調査を通じて、英国社会的企業における財政基盤、統治構造、組織構成、政府や企業とのパートナーシップ関係について、また、英国ボランタリー・セクターにおける社会的企業の位置づけについて明らかにすることができた。
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