研究概要 |
本研究は、第一に、男女雇用機会均等法の成立前後に男女同等の立場で採用された女性(似下、総合職・基幹職という)60名を対象に1993年と98年に行ったインタビュー調査の追跡調査であり、第二に、同法成立から10年を経て入社した第二世代30名を研究対象として調査を行うものである。本年度は3年計画の初年度で、調査途中である。調査の途中経過は次のようになる。 本年度はまず上記2つの研究のうち、第一の追跡調査を行った。66名のうち2名は転居により連絡を取ることかできず、本研究の調査対象者は58名となっている。調査対象者は調査の依頼をした後、本年度は53名に対して調査を実施し、テープ起こしを行い、結果の整理・編集を行っている。残り5名は引き続き調査を行う予定である。いずれも調査対象者の都合や強い希望により,他の調査対象者と異なり、文書(手紙など)による調査を行うことになっている。文書での調査は対面(口頭)で行うのと異なり、何度かのやりとりを要するため、時間がかかることが予想される。来年度末までに58名全員の結果をそろえて、調査結果を資料として公開し、さらに調査結果に基づいて分析を行って論文に投稿する予定である。 すでに行った調査の結果から言えることは、入社後15年前後を経ると、対象者のキャリアは多様なものとなっているということである。58名のうち、学卒後に入社した企業で働き続けている人は半数の29名である。初職継続者と離転職者を比較すると、出産経験者は前者が12名、後者が21名である。このことは、長期勤続することを期待して入社した総合職・基幹職が出産を経てなお勤め続けることが困難であることを示している。
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