研究概要 |
本研究の目的は,中小製造業の活方復活を,特に技術マネジメントという側面から検討することである。 本研究では技術マネジメントを広く捉えているが,本年度は二つの点に主として着目した。第一が中小企業が新たな技術をどのように導入して既存技術と組み合わせていくのかという点である。中小企業が活力を復活させようとすれば,技術力の向上が不可欠になるが,そのためには既存の技術をベースとしつつも,新たな技術をも習得していかなければならないからである。第二が社外に向けた視点をどのように確立していくのかという点である。中小企業がグローバルな競争力を持とうとすれば,世界での技術動向などを広く把握する必要がある。 前者については,技術の導入と組み合わせにはどのような関係があるのか,それをどのように組み合わせればよいのか,さらにどのようなプロセスで導入と組み合わせをはかれば,技術力の向上に効果的に結びつくのかといった視角から検討した。 後者については,先端的な技術を持つ企業との交流や公的機関の利用など,社外に向けた視点を確立するための手段を探ることにつとめた。 研究手法としては,理論的側面および実証的側面の双方から研究課題にアプローチした。 理論的側面では,関連分野について書籍やジャーナルおよび電子媒体を収集して,既存研究のレビューにつとめた。 実証的側面では,中小企業へのヒアリング調査はもちろんのこと,中小企業の顧客となる大企業や,関連機関なども調査対象に含め,中小企業をとりまく環境を広く考察した。またグローバル化の進展が中小製造業の復活に影響を与えていることをふまえ,国内だけでなく海外での日系企業の動向を把握することにもつとめた。そして普遍的な要因を導き出すことを意識して,できるだけ多様な業種を観察することにもつとめた。
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