1.前年度までの研究成果を、The Evolution of Management Development in A Japanese Company : A Case Study on Matsushita Electric Industrialとして、2004年7月にSwedenで行われたIFSAM(International Federation of Scholarly Associations of Management)で報告した。すなわち、明確な人材育成方針を持つことが、継続的な経営者育成には不可欠である。なぜなら、昨今の組織変革において、従来経営者育成に最適のOJTの場として考えられてきた地位が失われつつある。しかし、明確な方針が浸透していることによって、それに変わるような仕事を組織内で見いだされていた。また、このことは、経験と企業内教育によって経営者を育成していく日本型経営者育成システムに、依然として強みがあることをも示している。 2.前年度に行った質問票調査を回収、分析を続けた。諸般の事情で論文として分析結果を発表するには至っていないが、現在得ている結論を示す。 (1)信頼の形成については、単純な業績達成(P)行動よりも、組織の将来像について示したり、その仕事の重要さを認識させるような言動が与える、いわばより戦略的な行動が重要である。 (2)上司に対する信頼そのものは、意思決定の受容にはつながるが、自発的な行動を促すものではない。信頼を得つつ、別の働きかけをすることに重要さが示唆される。
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