本研究は、日本型ロジスティクスを探求するとともに、その実践を担う人材育成のあり方を提言することを目的としている。 初年度である平成15年度は、実態把握の期間と位置づけて、ロジスティクスにおける人的・組織的要因とロジスティクス成果との関係について、定量的な検証を試みた。 まず、ロジスティクス活動の中でも、需要予測による部門間の計画統合活動に焦点を当てて、社団法人日本ロジスティクスシステム協会の会員である製造企業275社の需要予測担当部門責任者を対象にアンケート調査を行った。回答企業は81社、回収率は29.5%であった。 次に、その内の有効回答企業68社を対象に、需要予測による部門間計画統合の有無とロジスティクス成果(コスト、在庫、顧客サービス)との関係を分析した結果、「コスト」と「在庫」について統計的な有意差を確認することができた。よって、需要予測による部門間計画統合は、ロジスティクス活動の中でも重要性が高いと考えられる。 次に、需要予測による部門間計画統合の有無と需要予測部門の人的・組織的要因(専門能力、地位、規範、機能部門に対する行動)の関係を分析した結果、専門能力の「統計解析能力」、地位の「販売部門に対する在庫責任」について統計的な有意差を確認することができた。 さらに、需要予測による部門間計画統合の有無と、「販売部門に対する在庫責任」と行動変数(情報共有、情報交換、命令、対話、協同)との交互作用項との関係を分析した結果、いくつかの交互作用項について統計的な有意差を確認することができた。 以上より、需要予測部門は独自性の高い能力を磨き、自ら在庫責任というリスクを背負うとともに、それを果たすための権限を持って、機能部門とやりとりする必要があると考えられる。
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