平成16年度は、需要予測による部門間計画統合活動に焦点を当てて、日本企業と米国企業に関する取り組みについてインタビュー調査を行った。 まず日本企業については、加工食品および日用雑貨業界の19社に対して、21回のインタビュー調査を行った。インタビュー調査項目は、(1)ロジスティクス・ネットワークの概略、(2)需要予測の定義、(3)需要予測に影響を及ぼす環境条件、(4)需要予測から出荷・生産などの計画立案にいたるプロセス、(5)そのプロセスの歴史的な発展経緯、(6)需要予測部門の役割についてである。 調査にあたっては、需要予測による部門間計画統合活動を組織的な知識創造活動とみなし、知識創造理論の枠組みを援用して、その統合過程を分析し、統合を実現する要因を明らかにした。その結果、その統合過程において、需要予測の専門部門とそれを利用する機能部門との間で、前者の技術的合理性と後者の現場合理性が対立すること、さらには統合を実現した企業では、機能部門の現場合理性を技術的合理性に置換するとともに、機能部門が技術的合理性を活用するようになるという現象が見られることが明らかになった。 次に米国企業については、需要予測のマネジメントの専門家であり、かつ米国企業の動向に詳しい研究者4人に対して、上記の調査結果のプレゼンテーションと米国企業の動向に関するインタビュー調査を行った。対象者は、ペンシルバニア大学のフィッシャー教授、ニューヨーク州立大学のスレッシュ教授、テネシー大学のメンツァー教授、ミシガン州立大学のクロス教授である。 調査の結果、米国企業では集中型、交渉型、コンセンサス型と呼ばれる部門間計画統合活動が主体であること、知識創造型のように、専門部門と機能部門が一体となって、需要予測モデルや業務過程を改善・改良し、成果を向上させるような取り組みは、あまり見られないことが明らかになった。
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