研究概要 |
本年度は研究計画年度の2年目にあたり,生産と販売の需給調整過程の鍵となる組織的調整過程の枠組みを明らかにすることを目的として調査・研究を行った。 第一は,需給調整過程に関する追加調査である。本研究で分析しようとする需給調整の組織的調整過程をより精緻化するために,実務家に対する追加調査をおこなった。今年度の調査対象は,味の素ゼネラルフーズ,近畿コカ・コーラ社等の食品・飲料メーカー,菱食等の卸売業者,イオン株式会社等の小売業者,フットワーク・エクスプレス社等の物流専業者に対して,公表資料の収集やインタビュー調査を実施した。これによって,組織的調整過程に対する企業間相互作用の影響を把握し,組織外部からの影響要因を整理した。第二は,理論的研究の追加サーベイである。近年,本調査と類似した研究が多々見られるようになってきており,そうした研究成果を収集し分析を行った。これらの研究成果は関西若手物流研究者研究会等の場で報告するとともに,編著書の一章として公刊した。 第三は,派生的な研究成果である。本研究はプッシュ型マーケティングの現実を理解するために,現代の流通革新の事例研究や調査を実施してきた。しかし,本研究の調査対象企業の多くはプル型マーケティングも同時に採用しているため,プル型マーケティングの現実もあわせて把握しようとした。そのなかで,プル型マーケティングの中心的なコミュニケーション媒体であるテレビ広告にある種の変化が起きていることを把握した。そこで,テレビ広告の媒体であるテレビ放送産業に焦点を当てて取引論的な分析をおこない,放送産業内の取引構造と企業経営上の問題点を明らかにし,論文として公表した。
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