本研究は、米国、欧州および日本の比較を通して、各地域の物流システムの特性を明らかにするものである。日本は、内航海運が強力な競争相手として存続しているものの、もっぱら道路輸送に依存している。特に欧州との比較により、日本の鉄道システムの弱さの原因が分析される。社会人口学的制約(高い人口密度、鉄道貨物を凌駕する都市部の鉄道旅客輸送の緊急性)とともに、歴史的かつ制度的な原因(民営化後のJR貨物の宿命)も作用しているが、我々は鉄道輸送機関に相対する主要なアクターの戦略的行動を調査した。 ・鉄道との統合に向けての諸戦略(例、トラック、宅急便運営者) ・鉄道運営者による革新:荷役技術、サプライ・チェーン統合、コンテナの標準化 ・規制者:鉄道輸送の運行をより円滑化するための規制者による取り組み 本研究の方法論は、フランス国立土木学校サビー教授および南カリフォルニア大学レ・ダム・ハン教授との共同のもと、企業データベース(米国、欧州、日本)の利用と企業経営者へのインタビューに依拠している。 本研究は、エネルギー効率性(デカプリング理論の確認)、競合度合(トラック輸送企業間の合併会社の交渉力)および社会的厚生(電子商取引への物流システムの適合、道路混雑に対する都市物流システム…)の観点でそれぞれの地域の物流システムを評価している。
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