研究概要 |
15年度の研究業績は、広告主と広告会社の現状分析として、ヒアリングを基に企業調査をおこなった。調査対象となったのは、関東に本社機能を持つ食品メーカーと携帯電話サービスをおこなう企業の宣伝部と広告に関わる総合的なサービスを提供する大規模広告会社である。調査では、まず、広告計画、すなわち、表現計画・媒体計画の立案、広告の出稿、広告の効果測定という一連の広告管理プロセスを把握し、そのプロセスでの相互の職務分轄などの役割分担・重複についてヒアリングをおこなった。その後、広告主と広告会社の組織構造の概略を確認した後、それぞれの組織構造が広告管理プロセスに与える影響、利点や問題点などについて調査を行った。 そうしたヒアリング調査をおこなうと同時に、先行研究の文献の調査を行った。まず、広告会社と広告会社の取引関係における研究蓄積をおこなっているClient-Agency Perspectiveを検討した。検討の結果、先行研究においては、長期的な取引関係の維持を可能とする関係的特定的資源等の構成概念、取引主体となる広告主、広告会社の組織構造の影響等が分析枠組みから欠落していることを確認した。それとともに、戦略論、組織間関係論を(資源ベース理論,組織学習)の枠組みをレビューすることで、Client-Agency Perspectiveに欠落している概念枠組み、視点を模索し補う作業を行っている。 次年度は、日本における広告主と広告会社と取引関係の現状との接合をおこないながら、こうした概念枠組みを再構築し、最終的な成果とする。
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