平成16年度における研究活動は以下の通りである。 1.文献研究 関連領域を含めた網羅的な文献レビューを行うことによって、品質管理に関して多様性が認識されること、品質管理への取り組み方が異なれば、業績評価・報酬の仕組みが異なる可能性があることを指摘した。その成果は、「商学討究」に論文として掲載した。 また文献レビューの過程では、日本企業の品質管理のもとで、定量的業績指標に依らない主観的業績評価が一定の役割を果たしてきた可能性があることが見いだされた。そこで、関連領域の研究を参考にしながら、日本企業において、主観的業績評価がどのような役割を果たしてきたのかについて検討を行った。検討の成果について、日本管理会計学会全国大会で報告するとともに、学会誌「管理会計研究」に掲載予定(近刊)である。 2.ヒヤリング調査 近年、品質コストシステムを導入する日本企業が増加していることを受けて、実際にその導入を行っている数社を対象としてヒヤリング調査を実施した。特に、(1)なぜ品質コストシステムが導入されているのか、(2)それがどのような役割を果たしているのか、(3)どのように実践されているのかという3つの観点からヒヤリングを実施した。ヒヤリング調査の成果については、日本原価計算研究学会全国大会で報告するとともに、「経理研究」「原価計算研究」に掲載予定(近刊)である。 また、改善活動に対してインセンティブ報酬を提供している2社についてもヒヤリング調査を実施した。調査の結果、日本型品質管理が抱えるいくつかの問題点を克服することを目的として、インセンティブ報酬が提供されていることが明らかになった。研究成果については、日本会計研究学会全国大会で報告を行うとともに、「會計」に論文を掲載した。
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