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2003 年度 実績報告書

日本型ネオリベラル統治における生政治の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15730234
研究機関千葉大学

研究代表者

渋谷 望  千葉大学, 文学部, 助教授 (30277800)

キーワードネオリベラリズム(新自由主義) / フーコー / 福祉国家 / 規律訓練 / 生権力 / 予防テクノロジー / 生政治
研究概要

本年度は、1.統治性へのフーコー派のアプローチを理論的に整理する作業を行うと同時に、2.具体的な統治の系譜学的研究を試み、両者を総合し、現在の統治の多面性の解明を試みた。
1.フーコー派の統治性を理論的に解明することに関して、二つの方向からアプローチを試みた。
(1)生権力の二重性からのアプローチ。『性の歴史:1巻』においてフーコーの示唆するように、主権権力から区別される「生かす権力」としての生権力は、近代のポリツアイ概念とともに始まる。それは二重の側面をもつ。すなわち、身体のミクロ政治学的側面(=規律訓練)と、マクロレベルでの人口population掌握の側面である。通常のフーコー理解では、両者は区別されていなかったが、本研究では、両者が権力テクノロジーとして分離可能であることを示し、様々な権力テクノロジーの<総体>のレベルに統治の種別性を識別しうることを示した。
(2)規律訓練(=制度としての監獄)のある種の「失敗」の解釈の分析からのアプローチ。『監獄の誕生』の最終章のフーコーの示唆によれば、監獄という規律訓練テクノロジーによる囚人の更正は「失敗」し続けてきたにもかかわらず、彼らを「ポリツアイ」レベルで活用することによって、監獄という制度自体は脅かされることがなかった。テクノロジーの「失敗」を<解釈>するレベルにおける権力として統治を位置づけることができる。
2.統治の系譜学的研究としては、日本における統治に関する文献および資料の収集を行い、整理を試みた。そして統治のタイプを福祉国家とネオリベラリズムの二つに整理したうえで、現在のネオリベラリズム的統治への変容が、規律訓練の重要性の相対的低下と、マクロな人口掌握的生権力(例えば予防テクノロジー)の上昇という変化として把握できることを明らかにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 渋谷望: "魂の労働--ネオリベラリズムの権力論"青土社. 293 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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