少子化と女性の階層的地位を総括的に把握するために、本年度、以下の研究を行った。 第一に、既存の大規模社会調査(SSMや全国家族調査)の2次分析を行った。そこから階層帰属意識と出生行動を増減させる社会的要因を探求した。 第二に、本研究の主眼をなす大規模なサンプリング調査を平成16年度に実施するために、質問紙作成の準備にとりかかった。本研究では、少子化をもらたす階層的な要因、すなわち階層帰属意識・階層行動・性役割意識・家族親族ネットワーク・夫婦の従業形態・夫婦の収入などを総括的に探索することを目指した。 第三に、今回の調査では、少子化に関してどのような政策が望ましいか、人びとはどのような政策を望んでいるかも調査することを企図している。ゆえに過去から現在においてなされてきた人口政策・少子化対策を、歴史社会学的な視点から把握する必要が生じた。そのため、長野県の信濃毎日新聞・岡山県の山陽新聞などを用いて、戦時期の人口政策から、1.57ショック以降の近年の少子化対策まで、総括的に検討・比較した。またこの過程で、実際に戦後の人口政策と関わりながら人生を生きてこられた人びとや医師を対象に、聞き取り調査を行った。 第四に、調査票の作成にとりかかった。少子化に関する既存の世論調査や社会調査を参照するとともに、新たな項目を作成しつつ、調査票を完成した。また、来るべき来年の調査に向けて、調査対象地・調査対象者を選定する作業の準備を行った。
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