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2004 年度 実績報告書

中国農村における村間格差と地域社会再編の社会的資源に関する基盤的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15730242
研究機関兵庫教育大学

研究代表者

首藤 明和  兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (60346294)

キーワード中国村落 / 生活構造 / 秩序とダイナミズム / 人治社会と顔役 / 人的資本と社会関係資本 / 小農経済 / <包>的構造(請負構造) / 親族と家族
研究概要

中国農村では、人びとの社会移動や社会的選抜、生活の質などで村落間格差が存在する。本研究では、離農・農業戸籍者が大多数を占める村落事例を取り上げ、離農が農民所得の増加に必ずしも寄与しないケースを紹介し、村間格差の背後にある中国社会の秩序と動態を分析した。
成果の一端は、『中国の人治社会』(2003年)、「『三農問題』アプローチの問題と課題」『年報村落社会研究40』(2004)などにまとめた。従来の中国研究では、多くが「規範村」を対象にしてきたが、報告者は「非規範村」(村民自治の非実施村)を対象とした。その結果、いくつかの新しい知見を提起できた。(1)二者関係が基盤の「后台人」(顔役)社会であり、(2)后台人による社会規範の適用方法や人的・社会的資本が村民生活の内容を左右する村落の「個人的性格」が強く、(3)「人間関係優先主義」を人びとの紐帯の基礎としつつ、組織原理は「<包>的構造」(請負構造)に見出され、(4)父系と母系の原生的紐帯は后台人を結節点に<包>的に展開する。(4)「三農問題」(農村・農業・農民)への取組みで中国政府は、農業から他産業への労働力移動が農地の集積、農業労働生産性の向上、高収益農業を導くものと想定し、約1億人の農村労働力移動を実質的に自由化して兼業農家に完全な離農を促している。しかし、すでに離農した農民の生活には、現行の社会保障にみる都市・農村間の制度的断裂や就労の不安定化にともない、多くの困難が存在している。食糧自給がほぼ実現した現在、農業の構造調整が排出した農業戸籍労働力への対処が大きな問題となっている。
今後は、(1)形式合理性よりも実質合理性が強い「人治社会」で、その秩序・動態を合理化論の普遍史的枠組みに位置づけつつ、中国社会に特徴的な社会厚生の仕組みを考察し、(2)村間格差から抜け出そうとする中国農民の姿を、家族・親族の形態・機能の分析を通じて浮き彫りにすることである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「三農問題」アプローチの問題と課題--離農した農業戸籍者に着目して2004

    • 著者名/発表者名
      首藤 明和
    • 雑誌名

      日本村落研究学会年報(日本村落研究学会) 第40集

      ページ: 219-245

  • [図書] 東アジアの家族・地域・エスニシティ--基層と動態2005

    • 著者名/発表者名
      首藤 明和
    • 総ページ数
      95-108
    • 出版者
      東信堂

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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