本年度の実施目標は、コミュニティ・オーガナイジングの理論を踏まえた上で、昨年度の予備調査の結果に基づきながら、中国と日本で本格的に聞き取り調査を行うことである。本年度の科学研究費のほとんどは、中国と日本での実地調査に関連した項目に用いている。 まず4月から5月にかけて、昨年度の中国における予備調査の結果を整理し、調査地の具体的な選定を行った。5月の下旬から末にかけては、中国の長春市で事例調査を行った。その成果を6月上旬に開催された日中社会学会大会で報告した。8月から9月にかけては3週間程上海市、北京市、長春市でさらに事例調査を実施した。その成果はまず2005年1月に論文にまとめて、日中社会学会の機関誌『日中社会学研究』に投稿している。さらに翌2月に開催された地域社会学会の研究例会でも報告している。2004年の10月から12月にかけては「コミュニティにおける政治的パワー」の問題との関連でボランティアの政治的性格に関する理論的研究を行い、1月にはその成果を「政策づくりにおけるボランティアの位置づけ」と題した論文にまとめ、2005年度の『ボランティア白書』に掲載される予定である。2005年2月から3月にかけては、日本国内における事例調査を実施し、神戸市ではいくつかのユニークなNPO、そして横浜市では活動リーダーの調査を行った。 なお、本年度は、昨年度執筆し、掲載が予定されていた論文が公表された。それも合わせて研究発表の欄に記入しておく。
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