1.研究課題の整理・発表 (1)集合的記憶論について 集合的記憶についての諸問題、とりわけ「戦争の記憶」が歴史社会学的な対象として扱われる際に留意するべき理論的課題を「集合的記憶論における『戦争の記憶』の理論的位置について」として第51回関東社会学会大会テーマセッション「記憶と想起の社会学」(2003年6月14日、大正大学)にて報告した。また、一般向け啓蒙書(『子大に語る社会学・入門』洋泉社)に解説「歴史と記憶の社会学」を執筆した。 (2)戦争文学について 大岡昇平の戦争文学における「事実」について、川村邦光編『戦死者のゆくえ--語りと表象から』(青弓社)に論文「『事実』と『慰霊』--大岡昇平の戦争文学作品を題材として」を執筆した。また、原民喜の原爆文学と原子爆弾という技術の関係について、『現代思想』2003年8月号に論文「原民喜、以後--あるいは、<メディア>として原子爆弾を考えることの(不)可能性」を執筆した。 2.戦争体験者に対する聞き取り調査 2003年7月および9月に長野県栄村にて戦争体験記執筆者に対する聞き取り調査を行った。また上記調査について「失われゆく『戦争体験』〜体験者の死というできごとと『戦争の記憶』の現在」として生活史研究会第88回定例会(12月13日、大正大学)にて報告した。 3.その他 「複製概念を複製するための断章集」(『d/SIGN』No.4、太田出版)の編集に携わり、「大量生産と死」についての解説を施した。
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