本研究は、生きがい支援事業の効率化を意図し、高齢者の生きがい観(「生きがいある生き方」ならびに「生きがい対象」)とその規定要因を、居住地域の特性に焦点を当てて明らかにするものである。本年度は、おもに先行研究を整理することによって、次年度に実施するアンケート調査の枠組みを確定した。それは以下の通りである。 1.「生きがいある生き方」については、家族重視、友人交流重視、趣味重視、社会貢献重視の4類型を指標として設定した。 2.「生きがい対象」については、交流活動(「家族団欒」「友人との雑談」等)4項目、能動的活動(「仕事」「趣味スポーツ」等)5項目、受動的活動(「旅行」「テレビラジオ視聴」等)5項目、併せて3類型14項目の活動状況を指標として設定した。 3.「居住地域の特性」については、社会的役割の継続可能性の観点による「自営業者定住地域(農業地域)-被雇用者定住地域(都市郊外住宅地域)」軸、生きがい対象の代替可能性の観点から、受け皿となる各種地域団体およびその活動の量・質によって規定される「代替可能性の高い地域-低い地域」軸を掛け合わせ、4つの地域類型を設定した。 4.「調査対象地」については、「生きがい支援事業の効率化」という本研究の意図と市町村合併による広域行政化の趨勢を鑑み、市町村レベルの単一自治体(山口県下関市)に設定。当該自治体を構成する小中学校区のなかから、「3.」で得られた4類型それぞれの特徴を示す4地域を調査対象候補地域として抽出した。 平成16年度は、以上の枠組みに基づいたアンケート調査を実施し、居住地域の特性に由来する、高齢者の生きがい観の類似性と多様性を明らかにする予定である。
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