1.半構造化面接と分析 (1)受障後15年程度(10名)、および5年程度(14名)が経過した脊髄損傷者に対して半構造化面接を実施した。この調査は、14年度中に行ったものを確認するための調査である。質問項目は、受障から現状までの生活の流れ、施設入所と地域生活移行直後とのギャップ、同種の障害者との関係性である。なお所要時間は、2回分を合わせて、1人あたり3時間弱である。 (2)分析 ・過去2回分の調査の録音テープを逐語化したうえで、内容のまとまりごとに区切っていく作業を終了した。 ・現在は、専用のソフトウェア「ISOP」(アイテック社製)を用いて、KJ法による分析を始めたところである。 2.方法論の研究 当初の予定通り、本研究を支える障害者のライフストーリー研究に関して、3点の理論論文を執筆した(業績リスト参照)。本研究が学際的なバックグラウンドをもつので、発表先も社会福祉のみならず心理学も含まれている。「人間性心理学研究」掲載予定のほうでは、ライフストーリー研究の現状を「援助貢献-脱援助」「個人重視-社会・文化重視」という2×2のマトリックスによるモデルによって整理した。「現代のエスプリ」「ソーシャルワーク研究」掲載予定のほうでは、「ナラティブセラピー」のような臨床指向の問題点を指摘したうえで、障害者理解の手法としての意義を強調した。なお、10月にあった日本社会福祉学会大会にて、この一部をポスター発表した。 3.その他 (1)本研究の出発点となった研究の集大成が、社会心理学研究に掲載されることになった。 (2)カナダ、アルバータ大学国際質的研究所の「質的研究の考え方ワークショップ2003」に参加して、A.Frank(カルガリー大学、医療社会学)等からライフストーリー研究のアドバイスを受けてきた。
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