<研究目的> 社会福祉援助活動、とりわけ相談援助活動において、児童虐待等の家族問題への予防的問題発見的な援助の重要性が高まっている。援助を要する家庭や家族は、困難を抱えながらも複数の問題を重複して抱えることで、外部社会へ支援を求めたり、援助者を家庭へ招き入れたりすることができずにいる状況がある。こうした家族は多問題家族として、社会福祉援助の利用へのサポートとともに、複数領域の専門職の連携的関わりの必要性をもっ。本研究では、家庭ソーシャルワークがいかにアプローチとして固有性をもちうるのかについての検討を行うことを目的としている。本年度は、その最も特徴的な対象として多問題をかかえる家族への関わりと家族のもつストレングス(むすびつきの強さや問題対処への力)の考え方に焦点化して研究・実践情報の収集に取り組むことを目的とした。 <研究成果> 1.相談援助活動の現状についての聞き取り 多問題を抱えた家族への相談援助活動の現状について次の対象を設定した。わが国における援助の実際例として母子生活支援施設、北米の家族援助実践の例として「家族保全」プログラムの研究に詳しい研究者、そして英国における実践例として民間援助団体それぞれに対して、現状の視察および実践の現状についての聞き取りを行った。 2.家庭福祉研究情報及び資料の収集 多問題を抱える家族への援助の方法論について、英国のFamily Service Unit(FSU)についての情報収集を行った。関係文献を収集するとともに、英国リバプール大学所蔵のFSUアーカイブにおいて資料収集を行った。また、北米の家庭福祉実践の代表例として、「家族保全」プログラムについての情報収集を行った。 3.家庭福祉研究文献のリスト化 ソーシャルワーク研究、家族療法研究等の関係領域の文献情報を収集し、リスト化の作業を継続した。
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