ますは、児童福祉領域における「子育て支援」の位置づけについて、制度・政策的研究の側面からは、その理念的言及も含め、多くの議論が展開されている。しかし、ソーシャルワーク的側面からの、技術・方法についての議論は少ない。その議論は、「子育て支援」や「子ども家庭支援」の必要性を少子化、児童虐待の増加など社会的状況から政策過程を整理したものが多い。また、「子育て支援」の必要性がいわれるようになった時期は、地域福祉や児童福祉施設改革がさけばれるようになる事とも連動している。このことは、児童福祉サービスの新たな展開や児童福祉サービス対象の拡大、つまり、「要保護児童からすべての子どもと家庭へ」とい動きであるといえ、児童福祉の制度的疲労を象徴したものであるとも考えられる。そのような意味では、制度・政策的側面において、福祉的アプローチからは一定の枠組みが設定されているといえる。しかし、一方の援助・方法的側面については、多様化されたサービスの事例的報告は多くみられるものの、ソーシャルワーク的なアプローチからの理論化がされているとは言い難い。さらに、サービスが多様化し「子育て支援」に対する取り組みが強化されたことは、子どもの発達、権利保障の側面からみると「子どもの存在」はどこへ?という課題が見えることとなる。 これらのことをふまえ、「子育て支援」を子ども、親、つまり家庭にとって最善の利益をもたらすものとして、ソーシャルワークの視点からの展開を考察すべく、子ども家庭支援センターの事業の中でマネジメント機能の可能性を探るための分析を試みたが、現段階ではニーズ分析の域を出ず、ソーシャルワークの専門性という枠組みからの分析ができたとは言い難い。さらに、対象領域を広げて再度検証していく必要があることは否めない結果となった。今後は継続的に研究を続けていく必要がある。
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