本研究の目的は、痴呆性高齢者を介護する家族における特有の困難化した状況を明らかにし、家族支援における社会福祉援助技術の一つとして「セルフヘルプ・グループ」活動の有効性と課題を実証的に検討するものである。 平成15年度は、ここ数年続けてきた資料収集を継続して行った。痴呆性高齢者を介護する家族の支援におけるセルフヘルプ・グループ活動に関する欧米並びに国内の文献サーベイを行い、研究動向、ならびに活動実践の動向を整理した。特に注目したのは、「家族交流会」における「場」のもつピア・カウンセリング効果である。 そして、「ソーシャルワーク(=社会福祉援助・社会福祉実践)」概念の範疇にセルフヘルプ・グループを位置づけて研究するため、渡米し、コロンビア大学、ニューヨーク州立大学、フォーダム大学のソーシャルワーク学部における研究動向について調査した。 これらの研究と平行して、平成16年度に予定している調査研究の準備を進めた。現在調査対象として考えている痴呆性高齢者を介護する家族による自助・互助グループ「社団法人呆け老人をかかえる家族の会(日本アルツハイマー病協会)」の「群馬県支部」(事務局:群馬県群馬郡群馬町デイみさと内)が主催する「家族交流」に定期的に参加することで情報収集を行い、インタビュー調査・参与観察の足がかりを作った。 また、インターネット上に展開される「掲示板(BBS)」を介したセルフヘルプ・グループに注目し、「痴呆介護」をトピックとした「書き込み」を収集・分析した。 以上の調査研究に際しては、人権・プライバシー保護に十分配慮して、対象者の同意・協力を得て行った。
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