研究概要 |
本研究の目的は、痴呆性(認知症)高齢者を介護する家族における特有の困難化した状況を明らかにし、家族支援における社会福祉援助技術の一つとして「セルフヘルプ・グループ」活動の有効性と課題を実証的に検討するものである。 平成16年度は、平成15年度に引き続きここ数年続けていた資料収集を継続して行った。痴呆性(認知症)高齢者を介護する家族の支援におけるセルフヘルプ・グループ活動に関する欧米並びに国内の文献サーベイを行い、研究動向ならびに活動実践の動向を整理した。平成16年度は、セルフヘルプ・グループにおける「世話人」の役割についてとくに注目した。 平成15年度・平成16年度の研究成果は、「痴呆介護における家族支援に関する理論的検討-ポストモダン・ソーシャルワークとしてのセルフヘルプ・グループ」(2004年9月、第5回日本痴呆ケア学会、口演第3群、虐待/権利擁護、新潟コンベンションセンター朱鷺メッセ)、ならびに「痴呆性高齢者を介護する家族への支援-セルフヘルプ・グループを中心に」(2004年11月、第77回日本社会学会、一般研究報告1(2)、福祉・保健・医療3、熊本大学・大学教育機能開発総合研究センター)として発表し、「痴呆介護における家族支援」(2005年2月,濱口晴彦監修,海野和之編『社会学が拓く人間科学の地平-人間を考える学問のかたち』五絃舎,pp.16-26.)としてまとめた。 また、平成16年度から平成17年度にかけて実施予定のインタビューの準備を進めた。現在調査対象として考えている痴呆性高齢者を介護する家族による自助・互助グループ「社団法人呆け老人をかかえる家族の会(日本アルツハイマー病協会)」の群馬県支部(事務局:群馬県群馬郡群馬町デイみさと内)が主催する「家族交流会」に定期的に参加し、インタビュー調査の足がかりをつくった。 以上の調査研究に際しては、人権・プライバシー保護に十分配慮して、対象者の同意・協力を得て行った。
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