障害者の地域における自立生活の必要な要件としての居住環境の役割を明らかにするため、平成16年度においては、以下の研究を実施した。 1.障害者の居住環境課題に関する調査(質的調査) 本調査は、主に神奈川県内に居住する障害者を対象に、居住環境の状況等について聞き取り調査(質的調査)を行った。個別的な聞き取り調査を行うことにより、量的調査では把握することのできない、居住状況、居住ニーズ、福祉サービスと居住環境整備の連携の必要性等を詳細に知ることができた。とくに、障害者自身による地域での自立生活への意向の強さは、新たな制度創設への寄与や他の障害者の地域における自立生活への先例となること等が明らかになった。 2.障害者の居住環境課題に対する社会福祉実践(ソーシャルワーク)のあり方 本研究の各種調査を踏まえ、障害者の地域における自立生活の実現に向けたソーシャルワークの貢献について、考察した。現状のところ、障害者の自立支援において、居住への支援はソーシャルワークの中心的な課題とはなっていない。今後、障害者の居住の安定確保への支援は、他の保健福祉サービスの効果を十全に発揮させるために欠かすことができないことを論じた。 3.研究報告書の作成 2ヵ年にわたる研究の成果として、障害者の地域における自立生活のための居住環境の課題を明らかにし、それへの福祉領域からのアプローチ(ソーシャルワーク、ソーシャルポリシー)の必要性についてまとめた。
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