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2004 年度 実績報告書

社会的交換における不確実性低減の制度的・心理的メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 15730279
研究機関京都大学

研究代表者

渡部 幹  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (40241286)

キーワード信頼 / 制度 / 社会的交換 / ただ乗り / サンクション / ソーシャルキャピタル / 人質 / ゲーム理論
研究概要

人間の社会は、社会的・経済的な資源の交換によって成り立っているが、そのような交換が上手く運ぶためには、交換の相手に対し「自分を裏切るようなことはしないだろう」という信頼を持つ必要がある。特に、社会的関係の流動性が増大し、これまで遭ったことのない相手や、評判などの情報が少ない相手との交換の機会が増えている近年の社会状況では、新しい交換相手との信頼関係をいかに築くことができるかが、重要な問題となっている。この問題の解決策を探るべく、研究代表者は実験研究を行った。実験は2人一組の参加者が信頼ゲームをプレイするものである。このゲームでは、片方の参加者が、もう片方の参加者に資源(実験ではポイント)を託し、託された参加者はそのポイントを増やすことができるが、その後増やしたポイントをすべて自分のものにするか、自分に託した参加者と平等に分けるかを選択できるというものである。ここでは、託す側の参加者が相手をどれだけ「信頼」しているかによって、託す資源の量が決定される。そして「託される側が、ただ乗りをすると罰を受ける制度」(経済学でいう「人質」の供出)の効果を調べた。人質を自主的に出す条件と強制的に出す条件を設定し、比較検討した結果、(1)人質の提供そのものは不確実性の低減をもたらす、(1)人質という「制度」を強制的に提供する場合、託す側の信頼は下がり、託す資源の量も低下する、(2)逆に自主的に提供する場合には信頼は高まり、託す資源量も上昇するが、その上昇度は大きくない、(3)人質提供を受けた側が、集団で討議を行うことにより、人質自主提供の効果が増大する、これらの成果は、アメリカ社会学会、日本社会心理学会などで発表され、その成果は2本の学術論文(邦文1篇・英文1篇)と本のチャプターとしてまとめられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Restoring Trustworthiness after Adverse Events : The Signaling Effects of Voluntary "Hostage Posting" on Trust2005

    • 著者名/発表者名
      Nakayachi Kazuya, Motoki Watabe
    • 雑誌名

      Organizational Behavior and Human Decision Processes (In press)

  • [雑誌論文] 人質提供が信頼性評価におよぼす影響--自発的供出と行為実績の効果2005

    • 著者名/発表者名
      中谷内一也, 渡部 幹
    • 雑誌名

      心理学研究 (印刷中)

  • [図書] アキレスと亀と信頼の醸成『社会心理学の新しいかたち』(竹村和久編)2004

    • 著者名/発表者名
      渡部 幹
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      誠信書房

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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