研究概要 |
本研究は、児童・思春期の子どもの学校適応に影響する要因について短期縦断的な視点から検討するものである。昨年度実施した調査では双生児の子どものいる420家庭から回答を得ることできた。そこで本年度は、このデータを用いた多変遺伝解析手法により、子どもが親に抱く信頼感、子どもの気質、親の養育態度に関する発達行動遺伝学的な検討を行った(日本心理学会第86回大会,関西大学)。 その結果、児童・思春期の子どもが一般的な他者に抱く親和性気質と母親に抱く信頼感の形成には、同一の遺伝要因が関わるが環境要因はそれぞれ独自のものが関わっていること、また子どもが母親の養育をやさしくて温かいと感じることと母親に信頼感を抱くことには、同一の共有環境要因(双生児の両方に同じ影響を与えると仮定される環境)が関わっていることなどが示された。 また、この時期の子どもの対人的信頼感や学校適応に関わる要因についてさらなる基礎的情報を得るため、学校に不適応な状態にあると予想される児童精神科外来に通う子どもとその親を対象に調査を行った。調査内容は、アメリカ精神医学会の診断マニュアル(DSM-IV)に対応した構造化面接(CAFAS : Child and Adolescent Functional Assessment Schedule)を改訂したものである。 今年度に得られたデータを基に、子どもの問題行動の有無や問題行動の種類などの視点から、彼らの親子関係や友人関係学校適応についての検討を行った。これらの研究成果に関しては、来年度の性格心理学会(平成17年11月)等で発表予定である。
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