目的1、解離とその周縁の構成概念とその測定方法についての批判的検討については、「催眠と意識現象-解離概念の検討-」として『催眠学研究』に論評論文として投稿し、現在審査中である。ここでは、解離についての多くのモデル化を統合的に理解するメタモデルとして解離を家族的類似性を持った一連の諸現象の集まりとして捉える観点を提案した。今後継続的に、理論的、方法的問題の検討を行う。 また、解離の測定方法の整備に関しては、解離の構成要素として重要な問題をはらむ離人について、多項目の因子分析による検討の結果を、日本心理学会大会にて発表した(「離人体験の因子構造の検討-離人体験尺度作成のための基礎的研究(II)-」日本心理学会第67回大会2003年9月)。尺度の検討は次年度以降も多角的に続けてゆく。 次に、記憶機能の把握等についての実験的方法の最適化については当該分野を専門とする高橋雅延氏(聖心女子大学)にコンサルテーションを受けながら予備実験を重ねているところである。次年度以降もDRMパラダイムを用いて個人差を捉える方法についてのさらなる洗練を続ける。また、尺度による日常生活記憶の機能的偏りの把握についても予備的検討を行った。 個人の主観的体験を適切に捉えるための面接手法の最適化については、日本質的心理学会の設立に参加し、当該領域の研究者と意見交換を行っている。
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