(1)本年度は、昨年までに収集した以下のデータを分析し、その結果を発表した。 (1)乳がん患者を対象に、治療経過における心理的苦痛について、否定的感情の抑制傾向と不安特性から検討をした。その結果、"否定的感情の抑制傾向の高さ"および"不安特性の高さ"は、治療経過中の心理的苦痛と密接に関与しており、これらの要因は心理的介入が必要な患者を初診時において十分にスクリーニングすることができると考えられた。 (第8回日本緩和医療学会総会のワークショップ、第13回日本サイコオンコロジー学会のパネルディスカッションおよびシンポジウム、総合病院精神医学会で口頭発表。Psychiatry and Clinical Nuerosciencesに掲載、Health Communicationに印刷中。さらに、Psychosomaticsに投稿中。) (2)大学生を対象に、否定的感情傾向、対処スタイル、および精神的健康との関係について検討した。その結果、感情を抑制し、かつ対処行動が情緒型や回避型である場合、精神印に不健康に陥りやすいことがわかった。 (日本心理学会第67回大会でポスター発表、精神科治療学に掲載) (2)新たに以下の点について、データ収集・分析し、論文にまとめた。 (1)8名の乳がん患者に対して自己コントロール感の回復をめざした心理的介入を実施した。 (2)精神疾患患者を対象に、感情抑制傾向とストレス耐性、また対人関係の持ち方、さらにはその思考および知覚様式について調べ、その一部はデータを分析した。統合失調症患者では、(1)陰性症状および思考の異常により、対称図形の選好が顕著であったこと、(2)健常者と比較して、まとまりに乏しく整合性に欠け、暗く冷たいぬり絵を作成したことがわかった。 (精神医学、臨床精神医学に印刷中) 上記の点を実施するにあたり、さまざまな学会や研究会に参加し、その情報収集にあたった。
|