研究概要 |
調査研究I アトピー疾患者の認知行動的特徴の解明 目的:アトピー疾患者を対象にした認知行動療法の適用の基礎的根拠を明らかにするために、帰属様式と主張性に関する調査を実施する。方法:調査対象:有意抽出法で得られた宮崎県内の高校生8校2408名(1年生:男494名・女664名,2年生:男237名・女474名,3年生:男208名・女331名)。高等学校養護教諭によってリクルートされた、医療機関においてAD疾患と診断され、かつ現在も治療を継続している高校生男女53名(1年生:男12名・女8名,2年生:男5名・女5名,3年生:男3名・女6名)。調査材料:(1)楽観的帰属様式尺度-「正-(永続性+全体性)以下PPG」、(2)Kiss-18(Kikuchi's Social Skill Scale-18項目版)、(3)SES(Self-Esteem Scale)。結果と孝察:社会的スキル獲得の程度と楽観的原因帰属様式の関係が自己評価に及ぼす影響を探るため、Kiss18とPPGの得点に基づいて、対象者の中から4群を抽出し、自己評価(SES)得点を従属変数とした一要因の分散分析を行った。4群の抽出方法は、Kiss18の平均得点から0.5SD以上をH群、平均-0.5以下をL条件とし、PPGの平均得点から0.5SD以上をh条件、平均-0.5SD以下をl条件としてH/h、H/l、L/h、L/lを組み合わせた。H/h条件とH/l条件の差異は、ともに高い主張スキル得点を有しながらも、楽観的帰属の強弱に違いを認めるものである。アトピー群の特徴は健常群に比較していずれも主張性が低く、楽観的帰属も有意に低かった。またL/h、L/l条件における自己評価も有意に低かった。高い主張性と楽観的帰属の見られるH/h条件では健常群に比較して自己評価に差が見られず、主張性と楽観的帰属の向上が同疾患者の自己評価を良好なものとする鍵であると推察する。
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