平成15年度は14年度中に開始した、妊娠中の夫婦への調査の継続、また生後6ヶ月および1年時点での縦断調査を順次行うことが研究活動の中心であった。 まず1回目調査についてだが、関東地域内の保健所および病院の協力を得て、総計約900組の夫婦から妊娠期の状況に関するデータを得た。具体的な内容は、妊娠期の心理的健康、になることに対する意識、家事分担の状況、夫婦関係、妊娠による夫の変化、属性、また有職者に対しては仕事と家庭の多重役割状況や職場環境などの項目からなる。 今年度は本調査の中でも特に、妻の妊娠による夫の変化に対する夫婦の意識、育児休暇の取得予定状況と職場環境との関連を中心に分析を行った。その結果、妻の妊娠による夫の変化について、すでに夫婦双方の間で意識のずれが生じており、特に妻に対する情緒的サポートに関しては興味深い結果が得られた。これらの結果はお茶の水女子大学人間文化研究科論叢において発表している(現在印刷中)。また親になることに対する意識などを中心にした分析結果を、お茶の水女子大学COEの報告書において共同研究として掲載している。学会発表については発達心理学会において本調査の結果の一部を発表した。また結果については調査協力者へのフィードバックに加え、協力関係機関である保健所などにも報告を行い、得られた知見を現場での母親・両親学級や子育て支援に活かしてもらうよう努めている。 また第2回調査については、16年度半ばまで継続の予定であり、現在約400組の夫婦から生後6ヶ月時点でのデータを得た。具体的な内容は1回目調査の項目に、子どもの気質や現在利用している育児サポートなどが加わっている。第2回調査の分析結果については今後、論文投稿や学会発表の形で報告をしていきたい。また順次3回目調査も継続していく予定である。
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