昨年度、申請者は入眠時に浮かぶ思考に対してどのような対処を行っているかについて調査を行った結果、否定的な自己焦点化による方略では、高得点群は低得点群と比較して睡眠の質が低いという結果が得られた。そこで本年度は、臨床場面における入眠時思考統制と睡眠リズムとの関係を検討した。対象は、大学生から協力者を募り、入眠時の思考統制の方略についてTCQ-Iや面接調査、さらに彼らの睡眠リズムについてアクティグラフおよび日常生活の記録により測定した。このアクティグラフでは、日常生活における睡眠リズムと活動量について測定ができ、睡眠リズムの変化を測定するに信頼性・妥当性も保証されている。 結果、対象者は、特に現在の睡眠についての問題は持っておらず、また特に大きなストレスを抱えてないものであった。入眠時に浮かぶ思考には、今日の出来事の想起、過去の出来事、明日やその後の計画、睡眠直前に行った活動(テレビ、ゲーム、本など)の想起などが挙げられた。スムースに入眠で移行できない場合には、思考中断、具体的な問題解決、体位の修正、などの対処を行っていた。また、入眠時に不安な出来事に焦点を当てた場合に、対処できずより苦痛を伴うような報告もあり、昨年度の研究結果と関連した見解と考えられる。今後も睡眠障害をもったものと合わせて継続して測定し、比較・検討する必要がある。 なお、本年度は内的事象に関する刺激として冷水を用い、Acceptance方略と感情の回避についての質問紙との関係を検討しているが、結果は現在集計中である。
|