【目的】障害児・者(要介護高齢者含む)が住み慣れた地域での在宅生活を送るための臨床心理学的生活援助のあり方について検討を行うことは、今後の医療・福祉・教育と臨床心理学が緊密な連携を図るためには不可欠である。そこで今回は特に発達障害児のデイサービスおいて、対人関係の活性化をもたらすための関与者の効果的な関わり方について検討を行うものである。その際、初期言語発達に重要な役割を果たすといわれる共同注意行動の分類をもとに行動の分類を行うものである。【方法】1歳6ヶ月から3歳0ヶ月児を対象にした親子遊び教室において、言語・社会性の発達に障害が疑われる子どもと関与者の関わり場面についてビデオ画像から行動分析を行い、遊びの相互交渉が継続する関わり方の特徴について分析を行う。【結果】遊びの相互交渉が継続する場合には、関与者は対象児の正面から玩具を提示するなどの関わりを始発させ、常に児の注意を誘うように眼前で関わり行動を持続している。その際、共同注意行動の「提示・手渡し(応答)」が出現する以外は、「要求の指差し」「社会的参照(催促・確認)」に類似した行動が出現していた。一方、相互交渉が発生しない場合は、関与者は対象児の後方から働きかけ、児の後を追う形で関わりを持とうとしていたり、児の腕をつかんで引き寄せようとするなどの働きかけを行うことが多いことが明らかになった。【考察】言語・社会性の発達に障害が疑われる幼児と遊びの相互交渉が継続するためには、児の正面から働きかけ、常に注意を誘うような働きかけを眼前で行う必要があることが示唆された。さらに、その際に出現する共同注意行動には定型的なものが少ないことから、共同注意行動においても発達障害児特有の出現形式があることが推測される。こうした発達障害児の特性を踏まえたデイサービスのあり方を考えていくことが今後の課題と言える。
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