1.救援者の災害ストレスやその予防(ディブリーフィング)に関する情報をインターネット、データベース検索などを利用し収集した。その結果、国内の文献は少なく、学会等でもようやく取り上げられるようになったという経緯が明らかになった(来年度以降、国外の文献にも注目し、翻訳ソフト等を活用し、情報収集を継続する予定)。 2.今年度は、東欧洪水災害の被害状況視察と救援者のストレス等の情報収集、研究等の現状等を把握する予定だったが、SARS等の影響で来年度に延期になった。 3.平成15年4月の鹿児島市花火工場爆発事故の際、事故発生から1週間後に鹿児島県警察本部の協力を得て、現場を視察することができた。デジタルカメラ、デジタル・ビデオカメラなどでの現場の状況を編集しつつ、実際の脅威、凄惨さを分析した。 4.救援者の災害ストレス(PTSD、CIS)および、そのストレス予防・緩和要因に関するアンケート用紙を作成し、調査を実施した。今年度は、鹿児島県消防署職員357名、海上保安庁第十管区海上保安本部職員80名を対象に、無記名によるアンケート調査を実施した。 (1)消防署職員を対象にしたアンケート調査では、対象者の92%が惨事を体験しており、そのうち、1.5人に一人がCIS(惨事ストレス)を感じ、惨事後には7人に一人がPTSD(外傷後ストレス障害)あるいはその傾向がみられることが明らかになった。 (2)海上保安庁第十管区海上保安本部を対象にしたアンケート調査では、対象者の69%が惨事を体験していた。そのうち、2人に一人がCISを感じ、18.5人に一人が惨事後にPTSDあるいはその傾向を有していたことが認められた。 (3)いずれの調査結果でも、専門家の助言やカウンセリング、ディブリーフィングをはじめ、職場(上司等)や家族の深い理解がストレス緩和になることが示唆された。
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