今年度は1.反応処理速度および意味記憶に関する項目を追加すること。2.標準バッテリーとして用いたMMSEとPASの間で課題の難易度の重複する課題をチェックしバッテリーから除くことによって検査の項目数を減らすこと。3.同一被験者に期間をあけて繰り返し測定することによって加齢の影響に対する課題の鋭敏さを検証すること。を目標とした。しかし、調査の技術的な問題から、1.の反応処理速度に関しては、実施することができなかった。代わりに、一般知識に関する問題、具体的には事物の類似点、相違点を問う問題と判断力を問う問題を採用し項目として追加した。 2004年9月から2005年1月にかけて地域在住の87歳以上の超高齢者約100名に対して訪問面接調査を行い、データの収集を行った。結果は現在分析中であるが、予備的に項目反応理論で課題の困難度を検討した。結果、課題のなかでも、非常に容易な課題(3つの単語の即時再生が1つできること:困難度-4.31)から、非常に困難な課題(5つの言葉に分かれた住所と人の名前遅延再生:困難度1.87)まで、課題の困難度に開きがあることが確認できた。また、MMSEの計算問題で1問目まで計算できること(100-7)、物品の呼称(消しゴム)とPASの有名人の説明(美空ひばり)はそれぞれ課題内容が異なるが共に同じレベルの困難度-3.43を示していた。現在、繰り返し測定による傾向は分析していないが、今後、上記の項目反応理論の結果と合わせて分析し、困難度が同じ課題に関しては削減し、超高齢者の認知機能を測定するバッテリーの完成を目指す。
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