研究概要 |
研究a 4月当初「荒れた」姿をみせていた5歳児クラス、及び、軽度発達障害と診断され、高機能広汎性発達障害(HFPPD)やADHD(注意欠陥多動性障害)が疑われる5歳児男児3名を対象とした小集団保育の一年間を追い、共同あそびが可能になる条件と対象児らの発達変化について検討を行った。保育計画の立案に際して、5歳児クラスでは近くの山を探検するごっこ遊びの仕掛けを工夫し、小集団保育では、「買い物に行って-おやつを作る」「大根を掘りにいって-皮を剥いて・・・」など、生活体験と遊びとを有機的に結びつけ、活動の流れが必然的になるように工夫した。身近な社会を体感する、「〜したら〜する」「〜したら〜になる」といった関係を理解する、ごっこ遊びのイメージをつくる、保育活動に保護者も巻き込み、体験を「お手伝い」として活かすといった点はレッジョ・エミリア保育学校のプロジェクト活動の中で重視されていることとも共通し、こうした取り組みの中で、荒れた姿をみせたり、コミュニケーションの難しさをもつ子どもたちも、他者を必要とし、共感して認め合う関係を築いていけることがわかった。(『自己信頼感の育ちに着目した「ことばの教室」における保育の評価-共同あそびに至るまでの保育の工夫と対象児らの発達変化についての考察』岐阜東幼稚園研究紀要,2004、『保育計画のつくり方・いかし方』ひとなる書房、2004) 研究b 音楽家らと協働し、幼児を対象とした「音あそびプロジェクト」を行い、自分の身体と"対話"する方法や、イメージをふくらませて他の遊びに発展させる方法について検討した。「シュー」「くすくす」などの擬音語から、3歳児クラスではごっこ遊びに発展し、4歳児クラスでは言葉あそびにつながるなど、対話や表現活動としての音あそびの可能性が示唆された。(『園児とつくった音楽あそび40「音・リズム・からだ」』民衆社、2005)
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