研究概要 |
新指導要録における「目標に準拠した評価」の導入に伴い、日本においては、評価規準や評価方法の開発が急務となっている。本研究は、「目標に準拠した評価」のためにポートフォリオがどのように活用できるかについて、英米における教育評価に関する調査、及び日本における開発研究などを通して探るものである。今年度は、主に次のことに取り組んだ。 第一に、英米におけるパフォーマンス課題やルーブリック、試験制度などに関する文献研究を進めた。これらは来年度以降に予定している現地調査に向けた基礎研究である。また、これらの情報については、日本の学校における校内研修の場などにおいても積極的に提供した。 第二に、鳴門教育大学学校教育学部附属小学校・附属中学校などの協力を得ながら、パフォーマンス課題とルーブリックの開発を行うアクション・リサーチを進めた。パフォーマンス課題やルーブリックだけでなく、それらを活用するための単元のあり方などについても成果が得られた。その中で、パフォーマンス課題やルーブリックを効果的に活用するための指導法、「学校を基礎にしたカリキュラム開発」の進め方、学校を超えて評価のスタンダード(standard:水準)を統一するためのモデレーション(moderation:調整)のあり方などが、課題として明らかになってきている。これらの課題については、さらに来年度探究していく予定である。 以上の研究成果については、項目11に示したとおり論文4本,著書3冊(単著1冊,共著2冊)において公表した。特に、著書『教科と総合に活かすポートフォリオ評価法』では、ポートフォリオ評価法に関する研究の全体像を総括するとともに、今後「目標に準拠した評価」を実施する上で役立つ学力評価計画の作り方を提案している。
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