本研究はフランスの大学評価と大学改革に関して、第三者評価機関である全国大学評価委員会(Comite national d'evaluation:以下CNE)による個別大学評価と、それが各大学の改革に与えた影響を明らかにすることを目的とする。すなわち、大学改革を促す要因としての大学評価の影響力ならびに有効性を、約20年にわたる外部評価の歴史を有するフランスの事例を通して明らかにすることを目指している。 平成15年度においては、まず第1に、CNEによる個別大学評価報告書の収集を行った。その結果、81校の高等教育機関(うち大学は52校)の92冊の個別評価報告書を入手した。CNEによる個別評価は数年前に第1回目の評価を終了し、現在は第2回目の評価が行われており、後者においては前者で指摘された問題点等の改善状況の検討もなされている。入手した資料の中で、このような対比可能な個別評価報告書2種類が揃っているのは8大学であり、現在はこれらを中心に個別評価報告書の分析作業を行っている。 第2に、実際に評価作業を行う評価委員が利用する「大学評価ガイド」を収集した。これはCNEの大学評価の方法論を示すものであり、大学評価の研究を行う上で資料としての重要性も極めて高い。そのため、これを「大学評価ガイド付表」および「IUFM評価ガイド」とともに翻訳し、本研究の中間報告書資料集(服部憲児訳「フランスの大学評価に関する基礎資料」(平成16年1月)全224頁)として刊行した。
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