デンマーク及びドイツの成人教育施設における評価の動向と現状を調査するため、平成16年1月、デンマークのフォルケホイスコーレ、ドイツのフォルクスホッホシューレを訪問し、ヒアリング調査と文献資料の収集を行った。 デンマークのフォルケホイスコーレは、最近、フォルケホイスコーレの評価が法律で定められ、2003-2004年度の評価が実質的には初めての実施になるということである。 各施設ではそれぞれ自己評価を行い、その結果を国に提出することになるが、初年度の評価ということもあり、評価の視点、方法について今のところ共通のものはなく、それぞれのフォルケホイスコーレの教職員が評価法について検討を行っている。フォルケホイスコーレの自己評価の場合は、各施設の目標に照らして合わせて運営の状態や結果がどうであったかを分析検討するのが一般的であるといわれている。今回訪問したコーゲロップ(krogerup)ホイスコーレは、学校の理念として、第1に民主主義の考え方を養うこと、第2は広い意味での政治教育によって政策決定に関わろうとする意欲を高めることを掲げている。これをどのように評価するかを、今後、注視していていきたい。 ドイツでは、ベルリンの中心にあるベルリン・ミッテというフォルクスホッホシューレを訪問した。ドイツの場合は、「学習者志向の学習支援の質の評価」といわれるプロジェクトが進行中で、評価の考え方や視点を示したハンドブックが作成されており、それを参考にして評価作業が進められていた。そのハンドブックによると、一連の評価は自己報告書作成、報告書の外部評価と訪問調査、最終協議の3段階があり、そのうち、自己報告書作成の視点として学習者やそのニーズ調査、プログラム編成、教授学習過程、施設・設備等の10の視点とそれぞれについて具体的項目が示されており、公民館においても共通する部分が多いことがわかった。
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