本年度は、高等教育進学者の文化習得過程について、文献資料と現地調査の双方からデータ収集に取り組み、それをもとに第一段階の予備的分析を行った。 文献収集に関しては、日本の新制大学・短大における一般教育・教養教育に関するものと、主に米仏の高等教育動向に関する文献資料のリストを作成し、整理を試みた。近年の日仏の動向に関しては、9月20日に日仏教育学会2003年度研究大会において、「大学改革をめぐるフランス的例外と日本的例外-市場化・グローバル化・地方分権化の狭間で-」と題する発表を行い、同学会年報に論文を執筆した。ただ、当初予定していた既存統計の再分析については、次年度の継続課題として残された。 調査研究においては、前年度に関西と北陸の7大学・短大で実施した調査の分析結果に基づいて、上越教育大学と関西の私立大学・短期大学の学生を対象に、文化習得に関する第1次パネル調査を計画し、10月に実施して計504名の有効回答を得た。学籍番号の記入をお願いする記名式調査のため、趣旨説明や調査票の管理等のプライバシーの保護に万全に配慮しながら、単独でコーディングとデータ入力の作業を行い、2004年3月に第一次報告書(全82頁)を作成した。前年度調査の分析の継続も並行して行い、特に学習経験の同質性/多様性という関係性に着目して、高等教育進学後の学習性向および文化資本の形成との関わりを分析した。パネル調査の項目につながる内容で、6月28日に上越教育経営研究会で報告を行い、その機関誌および上越教育大学研究紀要に論文2篇を執筆した。
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