本研究の目的は、高等教育機関の地域的機能(地域に対して果たしている役割)という<結果>を生み出している(組織的な)大学の地域との関係構築<過程>について、実際に大学-地域連携・交流に携わる当事者の視点から明らかにすることにある。ここでの「地域」とは特に地理的・客観的な言葉で定義されるものではなく、関係者の交流範囲や認識に応じて、主に都道府県レベルを中心として、県内をいくつかに分けたレベルあるいはブロック(ex.中国地方など)を扱う。 今年度は研究初年度ということで、(1)これまでの一連の研究成果の整理、(2)来年度以降の調査に向けた、大学-地域連携に携わる情報収集、(3)大学-地域連携に関わる当事者からの情報収集(一部、本インタビュー調査)、などをおこなった。具体的には、(1)では、本研究に関わる先行研究および関連文献に関して検討すると同時に、既存の統計データならびに調査データ等の分析を試みた。先行研究検討および関連文献分析の部分については、来年度研究成果として公表を予定している。(2)では、来年度以降の本格的なヒアリングを前に、対象となる大学および地域/ブロックにこだわらず、大学-地域連携に関わる情報収集をおこなった。(3)では、(2)での情報収集の際に直接当事者から情報を得るとともに、一部対象大学については今年度でキーとなる担当者が離職することから、一足先に本インタビュー調査を実施した。 来年度は、(1)(2)(3)を継続して進めていくと同時に、該当大学・地域に焦点を絞って、入手可能な範囲内でのデータ収集・分析をおこなっていくことにしている。また、(1)において当初予定していた大学-地域連携・交流に関する言説空間分析は、こうしたデータ収集・分析のなかで来年度以降本格的に着手することにしている。
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