アメリカにおける「学校の部分利用」を実証的に明らかにしていく上で、本年度は以下3点を行った。 第1に、関連先行研究を収集し、研究課題や論点を明らかにした。 第2に、研究代表者がカリフォルニア州サクラメント市に赴き、学校や家庭を実地訪問・観察し、「学校の部分利用」の実態に関する質的データを収集した。具体的には、いわゆるホームスクールを行っている家族のもとにホームスティをし、その家族が子どもの教育のために、どのような種類の教育機関、サービスを利・活用しているのか、そのような教育機関・サービスの利・活用に至るにはいかなる人的ネットワークを活用しているのか、1週間の教育のうち何割程度どのような種類の教育のために学校を部分的に利用しているのか等について聞き取り調査をした。 第3に、学校に子どもを通わせている保護者を対象に質問紙調査を実施し、「学校の部分利用」に関する量的データを収集した。その分析作業、考察は次年度(平成16年度)に行う予定であるが、「学校の部分利用」を行っている保護者がいかなる理由で、どのような学校と比較検討した上で、そのような教育形態を選択したのかを明らかにするつもりである。 最後に、今後の展望について簡単に記しておきたい。次年度は.本年度の調査結果を踏まえ、質的・量的調査ともにより踏み込んだ詳細な調査をさらに実施する予定である。そのために今秋再度渡米し、例えば「学校の部分利用」を行う側(保護者、子ども)と「学校の部分利用」を提供する側(学校、学区)が、それぞれどのような意図で「学校の部分利用」に関与しているのか、その際、いかなる制度的変容が学校教育並びにその周辺に生じているのか、といった点を実証的に明らかにしていく予定である。
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