アメリカにおける「学校の部分利用」を実証的に明らかにしていく上で、本年度は主に以下の2点を実施した。 第1に、インディペンデント・スタディという学習形態によって学校を部分的に利用している学習者の集まる学校の相対的な学力レベルを明らかにした。カリフォルニア州教育局がウェッブ上にアップロードしている公立初等・中等学校に関するデータファイルをダウンロードして統合・整理し、データベースを作成・更新した。その後、統計ソフトを使って分析した。なお、この研究結果については、11月26日(土)に安田女子大学において開催された中国四国教育学会第57回大会において、「学力の学校制度間比較-カリフォルニア州の事例から-」と題して発表した。 第2に、「学校の部分利用」というサービスを提供するために学校が採っている管理運営形態の分析を進めるべく、学校の部分利用者のために特別なサービスを提供している学校2校を訪問し各種情報や資料等の収集を行いつつ、その実態把握に努めた。具体的には、カリフォルニア州サクラメント市のネトーマス・チャータースクール、およびメリーランド州ボルチモア市カルバートスクールに赴き、学校側からの丁寧な説明を受けながら、教室内部における教育活動や学校の管理運営部門におけるマネージメント業務などを視察するとともに、学校内のアーカイブにおける貴重な資・史料を閲覧し、許可を得て写真撮影するなどした。2校のうちカルバートスクールは、ホームスクールを行っている家庭向けに自校のカリキュラム、教材を販売するというサービスを今から100年ほど前にアメリカで初めて行った学校であるが、その経営戦略や運営形態の特徴などをネトーマス・チャータースクールと比較考察しながら明らかにした。
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