研究概要 |
平成16年度は本研究成果として、次の1論文を発表した。 「学級運営に活用可能な学級環境測定尺度の提案-総合選択制高校の学校風土の記述を通して-」 【要約】欧米の教育現場では、環境圧力理論(Murray,1938)を根拠とした学級環境尺度(CES : Classroom Environment)等多数の教育環境測定指標が作成され、学校経営者や教師自身によって学級運営や生徒指導に活用されている。わが国の学校現場においても、教師自身が簡易に実施して必要な情報を入手できるツールの普及は有益であろう。そこで本研究では、教師の学級運営支援に活用可能な学級環境の測定内容について検討することを目的とした。具体的には、Actual/Preferredの2種類のフォームの学級環境評価尺度を、一般高校及び総合選択制高校の生徒を対象に実施した。結果では、高校生が学校生活で抱えるさまざまな負担や総合選択制高校の学校風土の特色が記述された。主目的であった学級運営に有益なフィードバックの測定内容・集計方法の検討については、報告書を試作、その有効性を検討した。 また本年度は、上記論文で得られた知見をもとに、非行少年を対象とした教師・スクールカウンセラーの学校臨床実践に役立つ学級環境尺度の作成に向けて、次の調査を実施した。 【調査対象】首都圏の「少年鑑別所収容中学生80名」及び「スクールカウンセラー配置校中学生120名」現在分析中の本調査データからは、一般中学生では、学校生活において「悩みは人に頼らず自力で克服すべき」いう信念をもつ子どもが実際に相談相手のない環境におかれた場合に、学級集団での孤立感が最も高いこと等が示唆された。また、非行・一般中学生とも、スクールカウンセラーと教師に対するイメージは類似していること等が示されている。本データについては、平成17年度も継続して更に詳細な分析を行う。
|