研究概要 |
本研究は、イギリスにおける言語的多様性に対応した国語教育論を試行モデルとして検討することによって、多文化・多言語共生の観点にもとづく国語教育の内容構成及びカリキュラム開発の視点を提出するための基礎的研究である。特に、イギリスにおいて、生徒の言語的多様性を国語科の中で教材化させていくことを提案した「言語意識学習(Language Awarenessアプローチ)」に着目し、その実態と実践的課題を明らかにすることを目的としている。本年度は3年度の初年度にあたり、資料収集・分析及び基礎的検討を中心に行った。また、現地校での調査及び専門家からの意見聴取も行った。本年度の成果を以下の4点にまとめる。 1.国内外におけるイギリス国語教育研究、言語意識学習に関する研究を広く検索・収集し、言語意識学習に関する研究状況を整理し検討した。 2.その成果の一部を第105回全国大学国語教育学会でのシンポジウム(沖縄県総合女性センター、2003年10月)で発表するとともに、さらにその詳細を雑誌論文としても発表した。特にシンポジウムでの発表においては,児童の言語的多様性に対応した国語教育論に関する論点について提案し、広く学会で議論し共有することができた。 3.現地校での調査(イギリス・レディング、2004年3月)を行った。授業への参与観察や質問紙による調査を通して、初等学校における言語意識学習の実践的課題について検討した。 4.レディング大学読解・言語情報センターのAsako Yamada-Yamamoto講師から、言語意識学習の理論的背景や実践上の課題についての情報や専門的な意見を聴取した。
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