研究概要 |
平成16年度は次の3点を重点課題とした。 (1) アメリカ合衆国における社会科科目「世界文化」学習の歴史的変遷の解明 (2) なぜ(1)のような変遷を辿らなければならなかったのかの「世界文化」の社会的変遷要因の解明 (3) (1)(2)をふまえた,アメリカ合衆国における社会科科目「世界文化」学習論の展開過程とその原因の解明 上記(1)(2)(3)については,各時代の「世界文化」教科書,その他関連文献の分析,及び,実践者・教育政策立案者などの教育関係者に対する聞き取りにより明らかにする。そして,具体的には,(1)アメリカ合衆国における社会科「世界文化」授業実践の参観とその後の研究協議への参加,(2)アメリカ合衆国における社会科「世界文化」に関わる(あるいは関わった)教育関係者からの聞き取り,の2点を行った。 本年度の成果としては,社会科科目「世界文化」の性格が明らかになったことが指摘できる。アメリカ合衆国における社会科科目「世界文化」は,本来,所謂「西洋文明」だけを学習することから,それ以外の地域を学習しようというリベラルな側面を持ち得ていたといえよう。しかし,(1)その学習対象とする地域・社会・文化をどのように取り上げるのか。(2)どのようにアメリカ社会と比較するのか。(3)それらをふまえて,アメリカ社会・文化をどのように描き出すのか。(1)〜(3)によって,アメリカ合衆国における保守主義を進める科目ともなりうる性格をもっている科目である。 これからの課題として,歴史的変遷を丁寧に追うことが指摘できる。具体的には次の3点である。 (1) アメリカ合衆国における社会科科目「世界文化」の成立・展開に関する体系的整理 (2) (1)の成果から,社会科世界文化学習の教科論的成立・展開に関する体系的整理 (3) (1)(2)から研究課題に対する暫定的解答の設定 上記(1)(2)については,過去2年間のまとめ,及び,アメリカ合衆国における,再度の教育関係者などへの聞き取りにより明らかにする。上記(3)については,学会等で成果を公表し,より合理的な結論を導き出す。
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