研究概要 |
障害のある子どもたちの教育において、その指導成果をより高め、尚且つ社会的な要請にも応えるために、教員のみ、或いは学校の中のみで行う教育から脱却し、学校内外の多くの専門種間の連携のもとで行う教育を実現させるためのツールとして、ICF(国際生活機能分類)を実用化することを目的とした研究に取り組んだ。 研究1年目の本年度、学校教育のシステムの中での実用化を検討するため、国内の養護学校教諭の協力を得て、具体的な事例を通して研究に取り組んだ。手続きとしては、それぞれの学級担任が(1)邦訳したICFチェックリストによる評価,(2)生活地図作成による児童生徒にかかわる多職種の確認,(3)前述(1)の結果に基づいたモデル図作成による全体像の整理,といった一連の作業後,それらをもとに児童生徒の現在の状況や課題,今後の方針等について学校内外の多職種等と協議を行った。その結果,連携のための話し合いが効率的,効果的に進められ,多職種間連携のツールとしてICFが有用であることが確認された。また,より実用性を高めるためには、既存の個別の指導計画との関連を整理しながら個別の教育支援計画の中に位置づけていく必要があることが示唆された。他方、具体的な評価ツールとして活用を図るため、ICFのチェックリスト「ICF CHECKLIST Version 2. la Clinical Form」の翻訳権をWHOから取得した。近々発行し、広く頒布を図る予定である。 なお、これらの研究成果ついては、各種雑誌や学会での発表の他、本研究所の研修での講義や全国の教育センターや学校での研修の場等を通して、主に学校現場の教員を対象に普及活動を行った。また、現在、児童期に対応したICF (ICF version for child and youth)の策定が世界的に進められており、本研究の成果をそのための資料として提供した。
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