研究概要 |
本年度は,尾角正人により定義されたリー超代数sl(m|n)に関連したボルツマン・ウェイトと楕円関数型R作用素の間にvertex-face対応があることを示した.ここに記したvertex-face対応とは次のようなものである.楕円関数型R作用素は適切な2変数関数全体のなす空間上に作用するので,楕円関数型R作用素の双対を考えることにより,この関数空間の双対空間上にも作用することとなる.この双対空間にはディラックのデルタ関数(2変数)が属しているので,楕円関数型R作用素の双対をこのディラックのデルタ関数に作用させることができる.すると,これは,再び,ディラックのデルタ関数の線型和として書けることがわかる.ここに現れる係数がリー超代数sl(m|n)に関連したボルツマン・ウェイトとなっているのである.これを数式で表したものが,vertex-face対応である.このことは,楕円関数型R作用素とディラックのデルタ関数より,リー超代数sl(m|n)に関連したボルツマン・ウェイトが導かれることを意味する.また,このvertex-face対応があることから容易に想像されるように,楕円関数型R作用素の満たすヤン・バクスター方程式から,上記ボルツマン・ウェイトの満たす最も重要な性質であるStar-Triangle 関係式が導かれることがわかる. 本研究に関する成果は,既に雑誌論文として発表されている(11.研究発表参照).また,本研究の成果の口頭発表として,平成16年3月,日本数学会年会無限可積分系セッションにおいて,講演する予定である.
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