研究概要 |
今年度の成果は二つあげられる. 1.特異点を持つsymplectic多様体について.Xをsymplectic多様体とし,X_1をXの特異点集合,X_2をX_1の特異点集合,以下X_<i+1>をX_iの特異点集合とするとX_i\X_<i+1>はsymplectic構造を持つことが知られている.このような「入れ子」のようになっている構造が他の場合にも見られないか,という疑問に基づいて,Lagrangian部分多様体について研究したところ以下の結果を得た. 定理1 f:X→Sをsymplectic多様体のファイバー空間とし,そのファイバーはXのLagrangian部分多様体とする.このとき,Xの特異点集合に自然に誘導されるファイバー空間のファイバーはやはりLagrangian部分多様体となる. また,上の定理をさらに一般化した問題として「Lagrangian部分多様体を特異点に制限したものはLagrangian部分多様体になるか?」が考えられるがこれは反例があることを確認した. 2.本研究課題の重要なテーマの一つにSymplectic多様体Xがいつファイバー空間を持つか,というものがある.従前の研究からファイバー空間を持てば複素トーラスをLagrangian部分多様体として含むことは分っていたので,この逆を考え,以下の定理を得た. 定理2 Symplectic多様体Xは複素トーラスをLagrangian部分多様体として含むとき,またそのときに限りファイバー空間を持つ.
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