1.研究目的「正標数代数曲線のprofinite普遍被覆の構造」に関して、一般の正標数代数閉体の上のpropef代数曲線を固定し、そこから除く1点を自由に動かす時に、標数0の望月の定理のような有限性が成り立つことを証明した。その鍵となったのが、曲線に対する正標数Mordell-Lang予想(Hrushovskiの定理)のある一般化の証明で、その結果自体も独立に興味深い(以上論文準備中)。 2.代数曲線の非特異な族は、混標数ないし正標数の場合には、被覆に上がることにより非特異性を解消して特異点を生じさせることができることが知られているが、適当な仮定の下では、より強く、指定された閉点の上に特異点を生じさせることができることを証明した(論文準備中)。この方向は、Andreの意味でのtempered普遍被覆を考える際に基本的であり、研究目的「正標数代数曲線のprofinite普遍被覆の構造」に関連する。 3.研究目的「正標数代数曲線のprofinite普遍被覆の構造」に関連して、正標数代数曲線の被覆に関する当該研究者のこれまでの研究の応用として、p進体上の双曲的代数曲線に対するGrothendieck予想(望月の定理)のあるversionの「代数幾何学的」な別証を与えた(論文準備中)。 4.研究実施計画記載の通り、平成15年9月にカナダのバンフで行われたワークショップに2週間参加し、研究目的「正標数代数曲線のprofinite普遍被覆の構造」及び研究目的「RumelyとMoret-Baillyの定理の正標数不分岐版の拡張とさまざまな応用」に関する講演を計2回して研究成果を発表するとともに、小人数の研究者と集中的な研究討論を行った。上記2の研究は、この際のPop、Wewersらとの討論に部分的に触発されたものである。
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