研究課題
1.双曲的代数曲線の非特異な(1次元)族は、混標数の場合には、被覆に上がることにより非特異性を解消して特異点を生じさせることができることが知られているが、更に基礎体の剰余体が有限体上代数的な場合には、より強く、指定された閉点の上に特異点を生じさせることができることを昨年度中に証明した。今年度はこの結果を執筆・出版したが、その過程で、さまざまな派生的命題で独立にも興味深いものを証明し、また、p進体上の双曲的代数曲線に対するGrothendieck予想(望月の定理)へのある応用にも気付いた。これらの研究は、研究目的「正標数代数曲線のprofinite普遍被覆の構造」(特に「遠アーベル幾何への応用」)に関連する。2.p進体上の双曲的代数曲線に対するGrothendieck予想の絶対版に関して、従来望月が得ていた結果より格段に広い範囲の曲線に対して証明を与えることができた(論文準備中)。証明は、望月のいくつかの結果に加えて、Belyiの定理と虚数乗法論が鍵となった。この研究は、研究目的「正標数代数曲線のprofinite普遍被覆の構造」(特に「遠アーベル幾何への応用」)に関連する。3.研究実施計画記載の通り、平成16年5月から6月にかけてパリとボンを計約3週間訪問し、研究目的「正標数代数曲線のprofinite普遍被覆の構造」及び研究目的「RumelyとMoret-Baillyの定理の正標数不分岐版の拡張とさまざまな応用」に関連する講演を計4回して研究成果を発表するとともに、複数の研究者と研究討論を行った。上記1の研究は、この際のAbbesとの討論に一部ヒントを得ている。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
J.Algebraic Geom. 13
ページ: 675-724
Publ.RIMS, Kyoto Univ. 40, No.4
ページ: 1291-1336