本年度の研究における最大の成果は、素数pが適当な条件を満たすとき(この条件は多くの素数が満たしている)有限次代数体の最大不分岐p-拡大のガロワ群として任意の有限p-群が現れることを示すのに成功したことである。さらにこのことから、任意の可算無限生成のpro-p群が、代数体(無限次も含む)の最大不分岐p-拡大のガロワ群として現れることも分かる。この種の結果は最大不分岐アーベルP-拡大のガロワ群に関しては任意の有限アーベルp-群が現れることが知られていたが、最大不分岐p-拡大という最も神秘的な非アーベル数論的な対象のひとつに関してもこのような結果が得られるということは、多少驚くべきことと言えるであろう。 証明の手法は全く古典的で、代数体の埋め込み問題の結果をうまく使うことと、単数群を巧妙にコントロールすることによって、望みの代数体を構成することが鍵である。 この結果自体は非アーベル岩澤理論とは直接には結びつかないが、代数体の最大不分岐p-拡大の研究という観点で本研究成果は注目に値するものと考えられる。そしてこの結果の手法が、将来非アーベル岩澤理論においても活用されることが期待できるので、今後も鋭意研究を行ってゆく予定である。
|